正直に言うと、私は長い間、「理念」という言葉がよく分かりませんでした。 聞いたことはある。大切だと言われている。 でも、それが何の役に立つのか、自分の中で掴めていなかったのだと思います。
分からないまま、放置していました。 「何のために生まれてきたのか」「どんな人生を生きたいのか」。 セミナーや本で何度も耳にしてきましたが、当時の私は、それが日々の仕事や現実と、どう結びつくのかが見えていませんでした。
「理念があったとして、それで目の前の課題が解決するのか? お金になるのか?」 正直、ピンときていなかったのです。
自分事にならなかった理由
その違和感がはっきりしたのは、組織の中で「理念」について考える場に立ち会ったときでした。 理念、ビジョン、役割、価値観……。 言葉は並んでいるのに、自分の中では、一本の線につながらない。
今振り返ると、理由ははっきりしています。 当時の私は、理念を「きれいな言葉」や「掲げるもの」だと思っていました。 仕事とは別のところにあるもの。余裕がある人が考えるもの。 だから、自分ごととして捉えられていなかったのです。
迷ったときに帰れる場所として
けれど、少しずつ立場が変わり、責任が増え、人や組織と向き合う時間が長くなるにつれて、同じ言葉が違って聞こえるようになってきました。
理念とは、飾るためのものではなく、迷ったときに立ち戻る場所なのではないか。 判断に迷ったとき、「何を大切にするか」を決めるための、「軸(ルール)」になるものなのではないか。
理念は、最初から分かるものではない。 必要に迫られて、自分の立ち位置と向き合わざるを得なくなったときに、初めて輪郭が見えてくるものなのだと、今はそう思います。