理念をつくる。そう聞くと、何かを「決めなければいけない」気がしていました。 正しい言葉を選ばなければならない。立派な文章にしなければならない。一度決めたら、変えてはいけない。
けれど、実際に理念と向き合い始めてから、その認識は大きく変わりました。 理念は、机の上で考えて完成するものではありません。 議論し、迷い、試し、ときには立ち止まりながら、少しずつ輪郭が見えてくるものです。
飾られる言葉より、使われる言葉を
組織で理念を扱うとき、よく起きるのが「言葉の正しさ」を巡る議論です。 もちろん表現も大切ですが、それ以上に大切なのは、「その言葉が、日々の行動と結びついているかどうか」です。
理念が生きている組織では、日常会話に理念が出てきます。 「これって、ウチの理念に合ってるかな?」 迷ったときに引き合いに出され、判断の理由として使われる。 完璧だから使われるのではありません。使われるから、育っていくのです。
理念は「問い」を投げかけてくる
私は、理念とは「正解を示すもの」ではないと思っています。 理念は、問いを投げかけ続ける存在です。
- この選択は、自分たちが大切にしていることに沿っているか?
- このやり方は、目指している世界に近づいているか?
その問いを、何度も自分たちに返してくる。 だからこそ、理念は育てるものなのだと思うのです。
理念は、決めるものではなく、育てるもの。 そう考えるようになってから、理念と向き合うことが、少し楽になりました。 「完璧を目指さなくていい。続けることをやめなければいい」。 そのくらいの距離感で、ちょうどいいのだと思います。