「結局、ボランティア活動でしょ? 仕事に繋がらないなら意味がないよ」

組織を運営していると、必ずと言っていいほど耳にする言葉です。特に、直接的な利益が見えにくい裏方の仕事や、学びの場に対しては、「忙しいのに、なぜそんなことをしなきゃいけないんだ」という疑問がつきまといます。

そこで私は、組織の成長と自社の発展の関係性を、一つの木のメタファーに例えて翻訳することにしました。

「実」だけを求めても、木は育たない

多くの人は、目に見える成果である「実(自社の発展・売上)」だけを欲しがります。しかし、土壌が荒れ、根が腐っている木に、豊かな実が成ることはありません。私は活動の優先順位を、自然の摂理に合わせてこう定義し直しました。

根(組織の土台)

見えないところで組織を支え、情報を吸い上げる基礎。ここがしっかりしていなければ、どれだけ立派な枝を広げても、組織は簡単に倒れてしまいます。

幹(個人の研鑽)

経営者としての自分自身を磨くプロセス。これが太い幹となり、どんな嵐(不況や逆境)にも負けない自分を作ります。ここを飛ばして、枝葉だけを伸ばそうとしても限界が来ます。

枝(交流とネットワーク)

根と幹が整って初めて、良質なネットワークという枝が広がります。自分自身が磨かれていない状態で、ただ名刺を配り歩いても、その枝は細く、すぐに折れてしまうでしょう。

「なぜやるか」が「自分のため」に変わる瞬間

「研修で自分という幹を太くし、交流で広いネットワークという枝を伸ばす。その結果として、あなたの会社に自社の発展という豊かな実が成るんだよ」

この考え方を伝えたとき、メンバーの反応が劇的に変わりました。

今まで「やらされ仕事」だと思っていた裏方の役割や、一見遠回りに見える学びの時間が、「自分の会社に実を鳴らすための、欠かせない準備なんだ」と腹落ちしたからです。

経営も、まずは「根」と「幹」から

これは、企業経営においても全く同じです。

新しい商品やサービスという「実」を次々に投入しても、組織の文化という「根」が乱れ、社員のスキルという「幹」が不足していれば、その成功は長続きしません。

「早く成果を出したい」と焦るリーダーほど、一度立ち止まって、自分たちの根と幹を見つめ直す必要があります。目に見える成果の裏には、必ず目に見えない準備がある。急がば回れ。それが、黄金時代を創るための唯一の王道なんです。

次回は、リーダーの想いを末端まで届けるための、もう一つの重要な仕掛け。

第5回:愛のシャンパンタワー編

仕組みを完成させる「最後の一滴」についてお話しします。