「規約にはこう書いてあるけれど、結局、私の役割って何?」
組織が新体制に切り替わる時、必ずと言っていいほど直面するのが「役割の不透明さ」です。
会長、副会長、専務、常務、理事……。規約を開けば「会務を総理する」「会務を司る」といった難しい言葉が並んでいますが、これでは現場のメンバーは動けません。
言葉が難しいから、理解が止まる。理解が止まるから、行動が鈍る。
そこで私は、組織図という「箱の羅列」を捨て、あるメタファー(例え)を用いることにしました。それが、「人体図(Body Diagram)」です。
「上下」ではなく「機能」でつなぐ
「私たちの組織は、一つの巨大な『身体』のようなものです。誰一人欠けても、健康に動くことはできません」
- 頭脳(会長・副会長・専務): 意思を決定し、進むべき方向を見定める。
- 神経(専務・常務): 頭脳が考えたことを、淀みなく、一貫性を持って末端まで伝える「情報のバイパス」。
- 手足(各委員会): 実際に現場を動かし、汗をかき、価値を生み出す実行部隊。
「神経が詰まれば、手足はしびれて動かなくなる。逆に手足が受けた衝撃を神経が脳に伝えないと、脳は正しい判断ができない。私たちは、上下関係ではなく、一つの生命体として機能しているんです」
「神経」としての自覚が、組織を変える
特に力を込めて伝えたのは、中間に位置する「神経(専務・常務)」の役割です。
彼らが単なる「伝言係」ではなく、「一貫性を守るためのフィルター」として機能し始めると、組織のスピードは見違えるほど上がります。
「自分が機能しなければ、現場(手足)が死んでしまう」
この人体図という共通言語が生まれた瞬間、メンバーの目つきが変わりました。難しい規約の言葉を暗記しなくても、「自分は今、身体のどの部分として動いているのか」を直感的に理解できるようになったからです。
「仕組み」に体温を宿すということ
これは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や組織改革でも全く同じです。
新しいシステムを導入しても、それが組織のどの「器官」として機能するのかが定義されていなければ、それはただの「異物」になってしまいます。
大切なのは、冷たいルールを、体温のあるイメージに翻訳すること。
「組織を生命体として捉え直す」
これが、私が仕掛けるステルス実装の、第一の矢です。
次回は、この「身体」をさらに成長させるためのロードマップ。第4回【木(ツリー図)編】。なぜ、あえて「遠回り」に見える活動が必要なのか。その理由を解き明かします。